ユニセフ/WHOの提唱と『赤ちゃんにやさしい病院』


 
1989年ユニセフとWHOは、母乳育児の重要性を強調して、「母乳育児の保護、促進、そして支援−産科施設の特別な役割」と題する共同声明を発表し、世界の全ての国の全ての産科施設に対して「母乳育児成功のための10ヵ条」を守ることを呼び掛けました。

 1991年ユニセフとWHOは「母乳育児成功のための10ヵ条」を採用し実践している産科施設を『赤ちゃんにやさしい病院』BABY FRIENDLY HOSPITAL(BFH)に認定することによって母乳育児をいっそう促進することを始めました。
 この年世界で初めて「赤ちゃんにやさしい病院(BFH)」に認定を受けたのは故山内逸郎先生の国立岡山病院でした。次いで国内では1992年に現「日本母乳の会」運営委員長である橋本武夫先生の聖マリア病院(久留米市)が認定されました。
 1994年日本で3番目、個人の開業医としては初めて石井第一産科・婦人科クリニックが認定を受けました。一般の開業産婦人科施設が認定を受けたことは画期的なことでした。
 2013年現在、日本では69施設(2013年7月現在)と世界から比べるとわずかな数でまだまだ母乳育児が浸透していないのが現状です。
 
さらに、BFHという認定を受けても十分に母乳育児を実践できていない施設もあります。
3年ごとに再検査が行われますが、十分ではないようです。
当院は日本でこの制度ができてから現在まで指導的な立場を貫きましたが、昨年をもってこの会からの卒業をいたしました。
妊娠中の乳房ケアーとか学問的でない、しかもそれを検証しない、姿勢は許されるものではありません。
この会がもう少し民主的で学問的な組織にかわるよう期待しておりますが、声を上げる事は致しません。
それよりもより学問的な学会「母乳哺育学会」での活動を優先いたします。

 現在、当院長は浜松市内の5病院と提携しお産を大病院で、その後の育児支援をしておりますが
退院し約1〜2週でほぼ全員が母乳育児になっています。
なかなか、母乳が出ないとか、なかなか飲ませられないとかいう方はいつでも(産後数カ月でも)
母乳育児に変えることができますので、勇気をもっていらしてください。
当たり前のことを当たり前にするだけです。







<ユニセフとWHOの“赤ちゃんにやさしい病院”について>

 1978   ユニセフとWHOは母乳育児促進を提言
 1979   ユニセフとWHOは母乳育児の重要性を再確認
 1987   石井第一産科婦人科クリニック 開院
 1989   世界のすべての国のすべての産科施設に対して『10カ条』を守ることを呼びかけた
 1991   『10カ条』を採用し実践する産科施設に対して“赤ちゃんにやさしい病院”に認定開始
        1.岡山県 国立岡山病院
 1992   2.福岡県 聖マリア病院
 1994   3.静岡県 石井第一産科・婦人科クリニック
 1995   4.長崎県 国立長崎中央病院
 1996   5.大阪府 笠松産婦人科小児科医院
 
        6.岐阜県 高田医院

 1997   7.山口県 梅田医院
        8.山梨県 杉田医院
 1998   9.北海道 謹医協札幌病院
        10.長崎県 井上産婦人科医院
        11.大阪府 岡村産婦人科医院.
        12.北海道 聖母会天使病院 
        13.大分県 くまがい産婦人科

 1999   14.三重県 津市医療生協白塚診療所
 2000   15.愛知県 山田産婦人科
        16.長野県 上田市産院
        17.東京都 日本赤十字センター
 2001   18.愛知県 ごきそレディースクリニック
        19.三重県 国立三重中央病院
        20.熊本県 ゆのはら産婦人科医院

日本などの先進国においてはユニセフやWHOが前記主張している汚染された水や、貧困の問題ではなく、
母子の「心のきずな」をつくる精神的な面と免疫的な面(アレルギーなどの予防)から特に推進されています。