コロナワクチンと妊娠授乳
  インフルエンザワクチン

コロナワクチンとインフルエンザワクチン

325日に米国産婦人科ジャーナル(American Journal of Obstetrics and Gynecology)に掲載された研究論文によると、妊娠中または授乳中の女性が新型コロナウイルスのワクチンを接種した場合、一般的な副反応のリスクを上げることなく免疫を獲得できるばかりか、ワクチンの効果が子どもに受け継がれる可能性があるとわかった。


妊娠中の女性にもワクチンは同等の効果を発揮


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人の女性を対象としたこの研究では、全員がモデルナ製またはファイザー製のワクチンを接種した。その結果、妊娠中もしくは授乳中の女性は、それ以外の女性と同程度の免疫を獲得したことがわかった。

また、研究中に採取されたすべての臍帯血(へその緒や胎盤に含まれる血液)および母乳のサンプルから抗体が検出され、母体から子どもに免疫が受け継がれる可能性があることを示した。

ワクチン接種後の副反応についても、参加者の追跡調査を行った結果、妊娠・授乳中の女性のほうが副反応が重くなるエビデンスは見つからなかった。

さらに、ワクチンを接種した女性の抗体価は、妊娠中に新型コロナウイルスに感染して免疫を自然獲得した場合に比べて「大幅に高い」ことがわかった。

母体の抗体が子どもに受け継がれる個人の例は以前も確認されているが、妊娠・授乳中の女性は新型コロナウイルスワクチンの初期の臨床試験の対象から除外されていたため、この種の研究としては今回が最大規模になる。

なお、この研究論文はまだ査読を受けていない。


妊娠中の女性はコロナ感染後に重症化しやすい


研究に参加した131人の女性は全員が生殖可能年齢だった。そのうち84人が妊娠中、31人が授乳中で、16人は臨床試験を受けた時点で妊娠していなかった。

米国疾病予防管理センター(CDC)によると、妊娠中の女性は一般女性群に比べて、新型コロナウイルス感染後に重症化するリスクが高く、入院や集中治療、人工呼吸器を必要とする傾向が強いという。調べによると、73600人以上の女性が妊娠中にコロナウイルスに感染し、少なくとも80人が死亡している。

この研究はラゴン研究所(マサチューセッツ総合病院、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学と提携)、マサチューセッツ総合病院、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院など、ボストンエリアの複数機関の研究者がチームを組んで行った。












赤ちゃんの目の検査について

当院では患者さんサービスの一つとして赤ちゃんの眼科検診を行なっています。日本の法的な眼科検診は3才児、就学児、学校検診しかありません。すなわち眼科においては3才までは野放しの状態なのです。けれど赤ちゃんをお持ちの多くのお母さんたちは自分の赤ちゃんの目は大丈夫だろうか、見えているだろうか、と心配していらっしゃるのです。また先天性の白内障や、牛眼(先天性緑内障)、網膜芽細胞腫といった、生後早期に発見すべき病気が見つかるのが遅くなってしまう危険もあります。そこで当院では1992年秋より生後4ヵ月、10ヵ月、1才半の赤ちゃんに眼科検診を行なっています。正常な乳児に定期的に眼科検診を行なっている施設は世界的にもほとんどなく、画期的なことなのです。

是非、乳児検診と一緒に眼科検診をお勧めいたします。眼だけの健診も勿論受け付けています。耳は検診するのに眼はしないのはおかしいと思いませんか?                                                                                      

 当科では屈折検査(遠視や近視の他覚的検査)、斜視の検査、眼底検査、透光体検査を行なっております。
 次にお母さんから良く聞かれる疑問点について解説しておきます。

Q.赤ちゃんはどのぐらい見えているのですか?
赤ちゃんの視力は主に縞視力という方法で測りますが、生まれて間もない赤ちゃんは0.02、6ヵ月で0.04、1才で0.1、1才半で0.2、2才で0.3、2才半で0.5、3才で1.0ぐらい見えるようになります。乳児期にはお母さんとおっぱいが見えればいいのです。当院ではフォトレフラクション法という方法を使っているので遠視や乱視の検査と白内障や斜視の検査が一度に出来ます。乳児はみんな遠視なのですが1才頃までに急速に遠視が減ります。その過程で左右の視力に差が出てくること(不同視)や遠視が減らないことがあり治療が必要なことがあります。現在のところ乳児の視力検診をしている施設はないので10ヵ月もしくは1才半検診で遠視が強いとか不同視とか診断された赤ちゃんは3才すぎまでは当科に定期検査にいらしてください。
Q.逆さまつげみたいだけどどうしたらいいですか?
成長とともにまつげが当たらなくなることが多いのでたいていはそのまま様子を見ていて大丈夫です。けれど6〜7才になってもよくならず、角膜に傷がついてしまうようなら手術が必要なこともあります。
Q.目の焦点が合わないみたいだけど?
生後早期では眼位(目の位置)は不安定で軽い外斜視が多いのですが、生後3ヵ月ごろには安定することが多いので4ヵ月健診で斜視と診断されたら検査が必要です。しかし本物の内斜視は少なく(1000人中1〜5人)、一見内斜視に見えても偽斜視というみせかけの斜視のことも多いので必ず眼科専門医の診断を受けてください。
Q.退院してからメヤニがひどいんですけど?
新生児の結膜炎はたいてい抗生物質の目薬で治ります。しかし1週間以上点眼しても良くならない場合は当科に受診していただきたいと思います。
 目の周りや口の周りのアトピー性湿疹のひどい赤ちゃんも多く見かけますが、まず一番大切なことは清潔です。4ヵ月健診まで顔を洗ったことがないとおっしゃるお母さんも少なくありません。食べ物やおっぱいのかす、よだれ、なみだ、めやになどをお風呂に入ったときお母さんの手できれいに洗い流してあげるだけで良くなることも少なくありません。
Q.片目だけいつもうるんでいますが?
先天性鼻涙管閉塞といって、目と鼻の奥をつなぐ涙の通り道が生まれつきつまっていることがあります。涙嚢洗浄やブジ−療法で治療します。生後6ヵ月以内の治療が望ましく、遅くなると再閉塞や感染を起こし治りにくくなります。
Q.よく目をこするんですが?
多くの赤ちゃんは眠いと目をこすります。これは心配ありません。でもあまりひどいときは手をおさえたりすることも必要でしょう。アトピー体質で目の周りがただれているときは治療が必要なこともあります。
Q.遺伝のことが心配です。
目の病気のなかには遺伝するものもあります。有名なものは色覚異常ですがもっと重篤な病気も少なくありません。心配なことがあるようでしたら妊娠する前に相談においでください。将来は遺伝子治療で治る時代が来るかもしれませんが現在はまだ治療出来るものはありません。

 乳児の眼科検診をすることによって早期に異常を見つけ、早期治療をするのが一番の目的ですが、乳児期の視力の発育についてはまだわかっていないことも多く、当科は乳児眼科検診のパイオニアとして研究を重ね第30回新生児学会、第47回臨床眼科学会、第8回国際視能矯正学会、第1回静岡県小児眼科学会、第50回、第52回斜視弱視学会などで発表し、高い評価を受けております。皆様方にもご協力頂くことも多いと思いますが医学の進歩のためにひいては赤ちゃんの健康のために宜しくご協力ください。
 5年間の経験からわかったことは、お母さんと赤ちゃんのコミュニケーションが視覚の発達にも大切らしいということです。寝かしっ放しの赤ちゃんや話しかけの少ない赤ちゃんは視点も定まりにくく、目の輝きもありません。お母さんは赤ちゃんの目を見てたくさん話しかけをしてあげてください。小さなうちは反応がないかもしれません。でも赤ちゃんはわかっているのです。小さいときから声をかけたり、だっこしたりのくりかえしが幼児教室などより、よほどより頭の良い子を作ると実感しています。